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Channel: みなと八戸日記
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セメント工場界隈の景色

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いつものようにふらりと写真を撮りに出かけた。

目的地は湊。
といっても大字湊町は海のそばから新井田と境を接する丘陵地帯までと、その範囲は広い。
今日は湊町のどこへ行こうか・・・。

新井田川を越え、塩入の坂を上ろうと思ったが気が変わったのでセメント工場へと向かうことにする。

セメント工場へ向けてまっすぐ歩いていく。
二十年近く前、この道を歩いて館鼻公園まで出かけたことがった。
機種は忘れたが一眼レフにリバーサルフィルムを詰めてセメント工場の煙突を撮ったのを覚えている。
あの辺の景色はそんなに変わっていないだろう、久しぶりに撮ってみよう、そう思うとなんとなくわくわくしてくる。

正面の緩い坂の上にセメント工場の煙突が見えてきた。
煙突付近の道は残念ながら工事中で、のんびりと写真を撮れる状態ではなかった。
久しぶりに青空をバックにセメント工場の煙突を撮ろうと張り切っていたのだが気持ちが一気に萎えてしまった。
なにかを期待して撮りに行くとこういうことが多く、なにも期待しないで行くといい被写体に巡り合える。
世の中うまくいかないものである。

脇を勢いよく走り抜ける車を除けながらホロキ長根まで来た。
ここからはかつてのセメント工場引き込み線の線路跡を通り、さらに鋭角に道を曲がって海安寺の坂を上っていく。
この坂から眺める新井田川方向の景色が私は好きだ。
といっても、それほど見通しがいい訳ではないのだが。

海安寺の山門を眺めながらセメントグランドへと向かう。
子供の頃、友達とよく遊んだこの辺りはあまり景色は変わっていないような気がする。
だが、何度も訪れたことのある友達の家はもうなくなっていた。
そして、セメントグランドに積まれていた鉄材もなくなっていた。
子供の頃の記憶をたどるのもなかなか大変だ。

さっきまで見えていた青空が、厚い雲に覆われ出した。
日も隠れ、よりいっそう寒々としてきた。
昔、人が住んでいて賑やかだった建物も今は無人のようで、ひっそりと静まりかえっている。
昔と何も変わっていないようで、やっぱり世の中は確実に変わっているということを実感したときほどむなしさ、悲しさを味わうことはないような気がする。

結局この日の撮影はなんとなく消化不良なまま終わってしまった。
そして、できた写真もすっきりしない色調で、ある意味その日の私の気分にぴったりの仕上がりだった。
これは独特の写りが評判の中国製フィルムを入れていたことだけが原因ではないような気がする。
この日の私の気分が反映された結果なのかもしれない。


セメント工場の煙突を望む。


セメント工場のサイロを湊町側から見る。


ホロキ長根バス停。


ホロキ長根生活館。


海安寺。


岩淵〜風浚付近にて。


岩淵〜風浚付近にて。

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